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2025年度税制改正で注目されるiDeCoの受給タイミングと税負担増加の可能性

2025年度の税制改正大綱において、確定拠出年金(DC)の一時金受給に関する変更が取り上げられています。特に、企業の退職金とDCを併せて受け取る場合において、受給タイミングによって税負担が増加する可能性があるため、注意が必要です。本記事では、この改正の影響と税負担を軽減するための対策について解説します。

DCの受け取りと退職所得控除の仕組み

DC(確定拠出年金)には企業型と個人型(iDeCo)の2種類があります。いずれも受け取る際に課税されますが、受け取り方法によって税負担を軽減するための控除を活用することが可能です。

特に注目されるのが、「退職所得控除」の変更点です。現在、DCを退職金より先に受け取る場合、5年の間隔をあけることで、両方の控除を適用することができます。しかし、5年以内に受け取ると、控除の重複部分が制限され、税負担が増える可能性がありました。この「5年」の間隔が「10年」に延長されることとなり、退職金とDCの受給タイミングにおいて、控除の最大活用を目指すには、10年以上の間隔が必要になる可能性があります。

税負担の増加試算

具体的なケースで、税負担の増加を試算してみましょう。

  • DC(加入期間25年): 1,200万円を60歳で一時金として受給
  • 退職金(勤続35年): 1,800万円を65歳で受給

現行制度では税額は約4万円ですが、改正後は約128万円に増加し、手取り額が124万円減少する計算となります。

改正の背景と専門家の見解

財務省主税局は、受給時期による税負担の差が公平性の観点で問題視されていたと説明しています。大和総研の是枝俊悟主任研究員も、退職所得控除を2度利用できる現行制度が異例であり、改正は妥当との見解を示しています。

ただし、この改正の影響を受けるのは、退職金が65歳以降に支払われる場合に限られ、多くの企業では退職金が60歳時点で支給されるため、影響を受けるのは一部に限られます。

税負担を抑えるための対策

税負担増加を避けるためには、以下の方法が考えられます。

  1. DCを年金形式で受給する
    一時金を避けて年金形式で受給すれば、「公的年金等控除」が適用され、税負担が軽減される可能性があります。
  2. DCの一時金と年金を組み合わせる
    退職金の額が控除額を下回る場合、DCの一部を一時金で受け取り、残りを年金形式にすることで、税負担を分散させることができます。
  3. 一括受給を選択する
    社会保険労務士の井戸美枝氏は、税負担が増えても退職金とDCを同時に一括受給するのが適切なケースもあると指摘しています。年金形式で受給すると、年収が増え、社会保険料が高くなる可能性があるためです。

今後の動向と最適な選択

改正案は2025年1月下旬~2月上旬に国会に提出され、2026年1月以降のDC一時金受給に適用される予定です。最適な受給方法は個々の状況によりますので、専門家に相談し、退職金とDCの受給シミュレーションを行うことが重要です。

プライオリティ財務コンサル事業部